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と致せ」
どこか混じりに言った。
聞き間違いだろうか?
濃姫は目をぱちくりさせると
「恐れながら、今、何と仰せに?」
思わず眉をひそめて訊き返した。
「じゃから…、胡蝶を伴侶に致せと、そう申したのだ」
信長は改めて述べると
「蘭丸よ。そなた胡蝶のとなれ。それでそなたの罪は免じてやる」
驚愕する蘭丸に、若干の仕方なさを漂わせながら告げた。
思いがけない夫の決断に、濃姫もただただ驚き 去濕保健品
「つまりは、胡蝶と蘭丸殿を、にすると、そういうことにございますか!?」
当惑顔で信長のらへにじり寄った。
「そうじゃと申しておろう。何度も言わせるな」
「されど何故に、急にそのようなご決断を?」
「何じゃ。蘭丸の命が助かることが、そちと胡蝶の願いではなかったのか?」
「それは……そうでございますが…」
濃姫が思わず口ごもると、信長は再度蘭丸を見やり、真摯な態度で語り始めた。
「蘭丸。そちも粗方は察しておるであろうが、胡蝶──そちがあの隠し部屋で目にした姫は、生まれながらにして片方の手足がない、奇形児であった。
我らは、そんなあの子を愛し、ってのう」
思わず父親の顔になって語る信長を、実に新鮮な思いで蘭丸は見つめている。
「なれどそんなあの子が、歳を重ねる毎に美しゅう、大きゅうなっていく様を間近で見ておると、世間にその存在を知られることも、
誰ぞの奥方となって、子を成すこともない胡蝶の将来が、実に哀れに思えてならなんだ。 …出来ることならば、
胡蝶にも人並のというものを与えてやりたい。父として、常々そう思うておったのだ」
「上様…」
思いがけず夫の本音に触れ、濃姫はに胸を熱くする。
「胡蝶の秘密を隠し通す為には、今以上にあの子の存在を知る者を増やすことは、正直本意ではない。
だが、胡蝶の夫とあらば話は別じゃ。夫であれば、当然の如く己の妻を守り抜く義務がある。そうであろう? 蘭丸」
「……」
「儂はいずれ、この日の本を出て、世界へ参る。左様な折、我が身をしてでも守ってくれる存在が、あの子には必要じゃ。
信忠や侍女たちだけではない…。なれど、武術の心得もあり、気転の利くそなたならば、姫の護衛役に適任じゃ」
愉しい遊びを思い付いた子供のように、信長はにんまりと笑うと
「故にこれよりは胡蝶の夫……、いや、それはちと早過ぎるな。良くてといったところか…」
そう独りごちてから
「では許嫁として、胡蝶を全身全霊を支えよ。それがそちの罪を許す条件じゃ」
と、改めて蘭丸に告げた。
「無論、そなたには表向き、一生涯 独り身を通してもらう。胡蝶の存在はには出来ぬ故な」
しかし蘭丸は、既に死を覚悟していただけに、その唐突な条件を、素直には受け入れられなかった。
ましてや、信長の姫をるなどとは。
「……恐れながら、上様」
「何じゃ」
「…実に身に余る名誉なれど、それは、と致し兼ねまする。某が、上様のご嫡女の夫とは」
「夫ではない、許嫁じゃ」
「い…許嫁であられようとも、某は武士の子として、左様なことで命をごうとは──」
思わず蘭丸が断ろうとすると
「そのもしや、我が娘にけちを付けるつもりか…?」
信長の眉間にすっと青筋が立った。
「胡蝶があのような体である故、密事でも婚姻など出来ぬと、そう申すのか!?」
「い、いえ、決して左様なことでは」
「では何じゃ!? 仮にも主君の姫をくれてやろうと言っておるのじゃ!何の不服がある!?」