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相変わらず沖田はわがままを言っては美海を困らせたが、着々と体力を取り戻しつつある。
「お墓掃除してきますね」
美海は部屋を出た。
龍馬さん…。
もういないのかぁ。
最近では、芹沢とお梅、山南、坂本と中岡。それから伊東。
沢山お墓参りをしなくてはならなくなってしまった。
月日が流れて、すっかり藤堂の目撃情報はなくなった。
それどころか、もう忘れているのだろうか。誰も触れない。
ザパァッ
「冷たっ!」
水が顔に掛かり、美海は顔を拭った。
ゴシゴシ…
無言で墓石を磨く。去濕保健品
「立花美海…」
名前を呼ばれ、振り向いた。
「あぁ。君」
そこにいたのはあの日。
近江屋まで美海を連れていった少年だった。
そうなのだ。今掃除してるのは坂本と中岡の墓だ。
「遠くまでわざわざ…ありがとうございます」
この前会ったときのズケズケとした言い方ではなく、敬語で喋ってくる。
「いや。いいの。私が来たかっただけだし」
「きっと先生達も喜んでます」
その少年は小さく笑った。
「今日は、寒いですね」
「えぇ。いつに増して」
美海は空を見上げた。
灰色の空から降っている雪が美海の鼻に乗った。
「天国で二人は仲良くしてるかなぁ?中岡さん。龍馬さんに怒ってないかな?」
美海はクスリと笑う。
女みたいだな。
少年はそう思い、笑った。
「天国って?」
「あぁ。良い人は死んだら雲の上にある天国にいけるの。天国は神様がいて暖かくて、とても幸せな所なんです」
美海は癖でついつい敬語を使った。
「ふーん」
少年はよく分かっていないようで、曖昧に頷いた。
「まぁ君も死んだ時には天国で中岡さんと龍馬さんに会えるよ。でも自殺は反対の地獄にいくから駄目だよ」
「じゃあ頑張った後のお楽しみですね」
「そういうこと!」
美海は笑った。
少年は黙った後、ゆっくりと口を開いた。
「…俺、新撰組って人斬りで情もなくて、攘夷志士の弾圧ばっかする最低な奴らだと思ってました」
「お…」
美海は胸を抑える仕草をした。
「坂本先生や、中岡先生は違うって言ってたけど、どうしても。嫌な奴らだって。そう思ってました。
正直、坂本先生達を襲ったのも、あんたらじゃないかって。疑ってました」
少年は強く拳を握る。
その幼い顔が歪んでるように見えた。
「でも、会ってみたらそんなことは全然なくて、坂本先生の言ったとおり、仲間思いな良い奴でした」
美海は照れたように笑った。
「なのに俺らは、新撰組が先生達を暗殺したって、天満屋で襲撃しちゃって…」
「本当にすいませんでした!」
ガバッと頭を下げられる。
「な!なにさ!別にいいよ!」
美海は焦りだした。
「でも…」
「いいの!嫌われ役は私達はもう慣れっこだから。」
美海は優しく笑った。
こうしてほんのちょっとでも理解してくれる。
それだけで十分だ。
「これからもさぁ」
美海が言葉を続ける。
「きっと私達は人を斬るし、情には流されないし、志士を弾圧し続けるんだと思う」
「きっと海援隊と新撰組の関係は良くないままだと思う」
「けど、志士も海援隊も新撰組も。皆この国のためなんだ。それだけは忘れないで」
美海が少年の頭をポンポンと撫でると、少年は強く頷いた。
「どう転んでもお互いに恨みっこなしだよ!」
「はい!」
二人は指切りをした。
その後も、美海は死んでいった仲間の全ての墓を掃除に回った。
襲われた郎党は、ぴくりとも動かない。
残ったのは兼親ただ一人だ。
イダテンは足をかばい、縄を伝って地面に降りると狼の倒れた場所まで急いだ。
喉元が黒い。帳だった。
前足から腹まで裂かれている。
枯草を踏みしだく音に振り向くと、肩で息をする兼親が立っていた。
分厚い胸にも大太刀を握る丸太のような腕にも、先ほどまでの力強さはない。
「おのれ、卑怯な……獣を使うか」
その後ろに人影が立った。
五尺六寸はあろう若い郎党が太刀を抜いて歩み寄る。
狼の唸り声を聞いて木に登った男だ。【海外植髮大比拼】淺談台灣植髮和韓國植髮 -
危険が去ったと見て、降りてきたのだろう。
木陰の下に入り表情が見えなくなった。
「おお、小太郎、生きておったか」
兼親は、一瞬振り返り、喜びをあらわにしたものの、すぐにイダテンに視線を戻した。なかなか用心深い。
「狼さえおらねば、しょせんこわっぱ。わけなく退治できよう。おまえは右に……」
兼親の巨躯が、がくりとぶれた。すとんと落ちて片膝をついた。
何が起きたかわからないのだろう。
目の焦点も合っていない。
その目が、ようやく自分の腹から突き出た赤く光る物を捕えた。
それは血に濡れた太刀の切っ先だった。
それが小太郎と呼んだ郎党の太刀だと気づいた兼親の顔に驚きが浮かんだ。
「なぜだ……」
声を絞り出す兼親の問いに若者が答えた。
「なにを驚いておる。目をかけてやったとでも思うておるか」
返り血を浴びた、その端正な顔にはいびつな笑みが浮かんでいた。
「冥土の土産に教えてやろう」
若者は、後方から、顔を兼親の耳元に寄せると、小さく息を吸い込み、ささやくように口にした。
「わしの本当の名を」
兼親の目が泳ぎながらも、その若者の姿を追った。
髭が震えていた。
「わしの名はじゃ……お前たちが攻めた、あの邸に親兄弟がおったのよ……おお、お前達の良く知る、頑固者のじじいもな」
瞬く間に兼親の衣が血に染まっていく。
義久と名乗った若者は、太刀を引き抜こうとする。
が、うまくいかない。肉が締まり、血に濡れた持ち手の柄が滑るのだ。
兼親の背に足をかけ、鍔に手をかけ、強引に引き抜いた。その拍子に、兼親の首にかけられていた大数珠の紐が切れ、ばらばらと音をたてながら地面を転がった。
太刀を引き抜かれても、片膝を着いた兼親は倒れなかった。
若者は、腹立たしげに足で背中を蹴った。
ようやく、どう、と音をたてて倒れた。
若者は、息を整えると、太刀を兼親の首にあてた。
名のある武将を討てば恩賞が出る。
場合によっては領地さえ手に入る。それが戦というものだ。
兼親は敵の副将だ。大きな手柄というべきだろう。
ただし、恩賞を与えてくれる味方の大将なり主人が生きていればだが。
「どこに持って行くつもりだ」
イダテンは烏帽子を剥ぎ取り、髷をつかんで兼親の首を首袋に入れようとした若者に声をかける。
その意味に気づいたのだろう。
月明かりの下、若者は、返り血を浴びた顔のまま口端を上げ笑った。
「ふん……つくづく、運のない家系よ」
投げすてられた首は、鈍い音をたてて草むらに転がり込んだ。
若者は、血に濡れた手と顔を端布で拭い、岩陰に隠してあった瓢箪の栓を抜いて、ぐびりと水を流し込んだ。
のがした恩賞の大きさを悔いる表情ではなかった。
足元にある死骸に目をやった若者は、それ以外、目に入らぬ様子で立ち尽くしていた。
同じ年頃の若い男だった。
馬上から馬を駆る勢いで相手を倒すための大太刀である。
長く重いその太刀を地上で使う者は珍しい。
兼親は、大太刀を鞘走らせ、イダテンに襲いかかってきた。
月光を浴び、青白く輝く刃が空気を切り裂いた。
仁王のような胸と丸太のような腕から繰り出される、その音も尋常ではない。
体を反らせてぎりぎりで避けた。
太刀が長いうえ、兼親の腕も長い。
その首から下げた大数珠が揺れ、音をたてる。兼親は、くやしそうなそぶりも見せず、にやりと笑う。
「つまらぬ戦と思うておったが、おまえの首を獲れるなら重畳というものよ」
と、言いながら郎党に指示する。
「通清の縄を切ってやれ」
それが吉次の本当の名前らしい。鐵皮石斛
縄を切られ手首をさする通清に、
「通清、イダテンに一太刀浴びせよ。それで帳消しにしてやろう」
兼親は、そういいながら後ろに下がる。
郎党の一人から抜身の太刀を渡された通清の目線が泳ぐ。
人を殺すことが怖いのではあるまい。
イダテンの力を身を持って知っているからだ。
兼親が、ためらう通清の背を蹴った。
イダテンの前に押し出された通清は、悲鳴をあげながら太刀を振り回した。
イダテンが左に避けるのを待っていたかのように後方の兼親が渾身の力を振り絞り、襲い掛かってきた。
躱しはしたものの、岩が転がる足場の悪い草地に追い込まれた。
切り殺そうとは思っていないようだ。
かち割ってでも致命傷を負わせればよいと考えているのだろう。
「姫君を背負ってなお、そこまで動けるか……手練れの者どもが苦労するわけよ」
やはり、宗我部の手の者だったのだ。
「とうに承知という顔じゃな。おお、わしも後悔しておるぞ。不意打ち、寝込み、あれこれとやってきたが、戦で言えば、いずれも常道のうちじゃ。おまえが成長するまでに、なんとしても始末すべきであった……あの時、おまえのばばを質に取っておればと後悔しておるところよ」
思っていた通りだ。
おばばは、山賊に襲われたと言っていたが、山賊はイダテンの弓の腕を恐れ、水分峡から、とうに姿を消していた。
追われて崖から落ち、怪我を負ったおばばは寝たきりとなり、食も細くなった。
その後、あちこちの寺社に忍び込み、書物をあさって薬草や滋養のある食物の知識を手に入れようとした。
むろん、おばばには黙っていた。
危険極まりない行為だからだ。
忍び込むことは言うまでもなく、薬効の定かでないものを試してみることも。
やがて、目は窪み、骨と皮になり、あばらが浮きだし、地獄絵の餓鬼のような姿になった。
それでも、おばばは手を合わせ、数珠を掲げ、感謝を口にした。
こうして生きていられるのも神仏のおかげだと。
明日をも知れぬ貧困と不幸は、信仰に拍車をかける。
坊主や宮司どもは、その信仰心を煽り、おのれの私腹を肥やす。
それでも、母が巫女をしていたという多祁理宮に足を運んだ。
かつて多祁理宮は、都にまで名を轟かせた母の力の恩恵で莫大な寄進を受けたという。
ならば母ほどの呪術者がいなくとも、誰ぞの紹介ぐらいはしてくれるのではないかと。逃げ腰に見えた宮司は、イダテンの差し出した父の形見の勾玉を見ると、その糸のように細い目を見開いた。
「それはもしや、願いの玉か」
イダテンがうなずくと、黙りこんだ。
近頃は加持祈祷も寺の坊主や山伏に奪われていると聞く。
「治してくれるなら、これを譲ろう」
願いの玉は、龍神がイダテンの父に礼として与えたものだ。
使うには覚悟がいるが、使うつもりなどないだろう。
これがあるというだけで、神社の名は高まり、寄進も増える。
と致せ」
どこか混じりに言った。
聞き間違いだろうか?
濃姫は目をぱちくりさせると
「恐れながら、今、何と仰せに?」
思わず眉をひそめて訊き返した。
「じゃから…、胡蝶を伴侶に致せと、そう申したのだ」
信長は改めて述べると
「蘭丸よ。そなた胡蝶のとなれ。それでそなたの罪は免じてやる」
驚愕する蘭丸に、若干の仕方なさを漂わせながら告げた。
思いがけない夫の決断に、濃姫もただただ驚き 去濕保健品
「つまりは、胡蝶と蘭丸殿を、にすると、そういうことにございますか!?」
当惑顔で信長のらへにじり寄った。
「そうじゃと申しておろう。何度も言わせるな」
「されど何故に、急にそのようなご決断を?」
「何じゃ。蘭丸の命が助かることが、そちと胡蝶の願いではなかったのか?」
「それは……そうでございますが…」
濃姫が思わず口ごもると、信長は再度蘭丸を見やり、真摯な態度で語り始めた。
「蘭丸。そちも粗方は察しておるであろうが、胡蝶──そちがあの隠し部屋で目にした姫は、生まれながらにして片方の手足がない、奇形児であった。
我らは、そんなあの子を愛し、ってのう」
思わず父親の顔になって語る信長を、実に新鮮な思いで蘭丸は見つめている。
「なれどそんなあの子が、歳を重ねる毎に美しゅう、大きゅうなっていく様を間近で見ておると、世間にその存在を知られることも、
誰ぞの奥方となって、子を成すこともない胡蝶の将来が、実に哀れに思えてならなんだ。 …出来ることならば、
胡蝶にも人並のというものを与えてやりたい。父として、常々そう思うておったのだ」
「上様…」
思いがけず夫の本音に触れ、濃姫はに胸を熱くする。
「胡蝶の秘密を隠し通す為には、今以上にあの子の存在を知る者を増やすことは、正直本意ではない。
だが、胡蝶の夫とあらば話は別じゃ。夫であれば、当然の如く己の妻を守り抜く義務がある。そうであろう? 蘭丸」
「……」
「儂はいずれ、この日の本を出て、世界へ参る。左様な折、我が身をしてでも守ってくれる存在が、あの子には必要じゃ。
信忠や侍女たちだけではない…。なれど、武術の心得もあり、気転の利くそなたならば、姫の護衛役に適任じゃ」
愉しい遊びを思い付いた子供のように、信長はにんまりと笑うと
「故にこれよりは胡蝶の夫……、いや、それはちと早過ぎるな。良くてといったところか…」
そう独りごちてから
「では許嫁として、胡蝶を全身全霊を支えよ。それがそちの罪を許す条件じゃ」
と、改めて蘭丸に告げた。
「無論、そなたには表向き、一生涯 独り身を通してもらう。胡蝶の存在はには出来ぬ故な」
しかし蘭丸は、既に死を覚悟していただけに、その唐突な条件を、素直には受け入れられなかった。
ましてや、信長の姫をるなどとは。
「……恐れながら、上様」
「何じゃ」
「…実に身に余る名誉なれど、それは、と致し兼ねまする。某が、上様のご嫡女の夫とは」
「夫ではない、許嫁じゃ」
「い…許嫁であられようとも、某は武士の子として、左様なことで命をごうとは──」
思わず蘭丸が断ろうとすると
「そのもしや、我が娘にけちを付けるつもりか…?」
信長の眉間にすっと青筋が立った。
「胡蝶があのような体である故、密事でも婚姻など出来ぬと、そう申すのか!?」
「い、いえ、決して左様なことでは」
「では何じゃ!? 仮にも主君の姫をくれてやろうと言っておるのじゃ!何の不服がある!?」
謀反など、ましてや兄殺しなど、自分にはとても──
「信勝殿が討たなければ、いずれ不満を募らせた家臣たちの手によって、信長殿は討ち取られる事になるのですぞ」
相手に躊躇う隙を与えぬかのように、信友はすかさず言葉を重ねる。
信勝は思わず苦笑した。
「そんなまさか。いくら兄上がうつけと謗られるお方でも、家臣たちに討たれるなど…」
「有り得ぬ話ではございませぬ。ただでさえ人望の薄かった信長殿は、葬儀の一件で支持者を尽く失のうておりまする。botox小腿
それに近頃では、信長殿に仕える若い家臣たちと、先代から仕えし古参の家臣とが何かと対立している様子。
それもこれも、信長殿が身分を問わず、闇雲に無教養な餓鬼共を召し抱えられたが故じゃ。
いくら度量の深き古株連中でも、かような我が儘勝手を強いられ続ければ、信長殿に主君の器なしと見て必ずや反旗を翻しましょう」
「…信友様…」
「もしそのような事になれば、連中はこの機に乗じて尾張一円を奪わんと画策するやも知れませぬ。
そうなれば信勝殿。信長殿だけではなく、そなたや報春院殿、まだ幼い妹君にまで刀の先が向くかも知れないのですぞ!?」
その話を聞いた信勝は、何とも大袈裟で、馬鹿げた話だと思った。
…思ったが、信友があまりにも感情的に、また現実感を帯びた話し方をする為、
もしや本当にそうなる時が来るやもしれぬと、信勝も内心では動揺し、不安感を募らせていた。
「何も躊躇う必要はござらぬ。信長殿とて、家臣の手によって命を落とすよりも、実の弟君である貴殿に討ち取られた方が本望であろう」
「……」
「信勝殿。この織田家の末永い安寧の為、何よりも、お大切な方々を戦火から守る為にございます。
どうか一日も早ようご決断なされ、我々を安心させて下さいませ」
信友は双眼を伏せ、頷くが如く頭を垂れた。
信勝は無論それに返答などしなかった。
「考えさせてくれ」とも「暫し猶予を」とも告げる事なく、彼はそのまま信友を奥の広間へと誘(いざな)うと、
沢山の料理や酒。鳴り物などを催して、随行の家臣共々、至極鄭重な対応で持て成したのである。
信友が帰るまでの間、信勝は動揺した素振りは極力見せず、毅然と振る舞っていた。
しかしこの日、染み一つない真っ白な和紙の上へ、筆に含んだ墨がぽたりと滴り落ちたかのように、
拭っても消えない“何か”が、信勝の心の片隅を黒く染め上げていた事は確かであった──。
それから二日後の正午。
那古屋城の表御殿と奥御殿の境にある渡り廊下では、侍女のお菜津が、そわそわした様子で誰かの訪れを待っていた。
程なくして
「──お待たせ致しました」
と、池田勝三郎が辺りを軽く見回しながら、小走りでやって来た。
先日の暗澹とした姿が嘘のように、今日の彼は実に晴れやかな面持ちである。
勝三郎はお菜津に軽く一礼すると
「奥御殿のお方様にお言伝てをお願い申します」
彼女の耳元に口を寄せ、そっと要件を囁いた。